WORKS
設計事例
30年に渡り長らく地域医療に寄与してきたクリニックの建替工事です。
敷地は既設クリニックの駐車場跡地であり、岡崎市の中心部から少し離れた閑静な住宅街に位置しています。患者様の往来が多い整形外科という診療科目から、駐車場を最大限確保するため建物を敷地後方へ配置する計画としました。
これらの要素から「景観との調和・視認性を高めるシンボル」がこの建物に必要と考えました。斜めに張出した庇は、遠景では水平ラインによる端正な佇まいが周辺との調和を図り、アイレベルからは鋭角が際立つことで、存在感を示した迫力ある印象へ変化します。
1階は待合・診察エリア、2階をリハビリエリアとして計画し、2層のボリュームを庇とのコントラストが効いた上品な色彩で構成することで、双方の視認性を高めています。また、アルミリブの軽快さとガラスの透明感により、重厚な磁器質タイルとのバランスが保たれるよう設えました。
視点による佇まいの変化とマテリアルの構成により街並みとの調和・建物のシンボルとしての両立を実現しました。
待合室へ入ると、柔らかな曲線を基調とした空間が患者様を迎えます。外観と対照的なデザインが患者様をおおらかに歓迎する優美な佇まいをより際立たせています。
「3診・X線・DXA」など複数の診療をまとめた計画から各諸室へのアクセスを明瞭にするため、動線と滞留スペースで床材を切替えています。また、各所に視線の抜けとなるニッチを設けることで、空間に奥行きが生まれる設計としました。
受付やサインにも曲線を用いて、統一感のある有機的な空間をかたちづくりました。
2階のリハビリエリアは、アクセントクロスに向かって弧を描く天井が緩やかな境界を生み出し、機能に応じた柔軟なエリア分けを可能としています。ルーバーや不規則に配置されたダウンライトによりアール天井の求心的なデザインと調和を図りました。
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竣工
2025年10月
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用途
診療所
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構造
鉄骨造
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延面積
594.16㎡
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階数
2階