デザインと機能の両立。
白の外壁は建物コンセプトを表現すると同時に、設備配管のダクトスペースとしても利用しています。
ひとの入口は製造過程の主原料をデザインコンセプトにしています。
記録紙の主原料であるパルプが古紙や樹木からつくられるため、入口となるエントランスの庇には樹木と古紙をイメージにデザインしています。
繋がる天井でつながる空間を演出。
風除室の天井がエントランスと同じデザインでつながることで、風除室が単独空間にならず広さが感じられるよう配慮しています。
抜け感がもたらす吹抜け天井のさらなる吹抜け感。
エントランスの天井を一部ミラーにすることで、受付カウンター上に奥行感を持たせました。
吹抜け天井が更に高く感じられる工夫となります。
壁と天井の素材はデザイン性のみあらず。
吹付天井にすることで空間が広がり開放的になる一方、反響音が不快な音になります。
一般的には天井に吸音効果のある岩綿吸音板を採用しますが、この空間では壁にも使用することで吸音効果を高めています。
意匠上、吸音材に塗装した場合がありますが、吸音性能が減少してしまうため上塗りではなく素材自体に染色された吸音板を採用しています。
採光の取り入れ方。
会議室と廊下の間仕切りをガラスパーテーションにすることで窓のない廊下でも明るさを確保しています。また、会議内容を見えにくくするため中央部にグラデーショーンフィルムを採用しています。会議内容がオフィシャルであればあるほど透明性のある会議であるべきという考えからオープンな会議室となりました。
仕事場から休憩ラウンジまでの道のりの細工。
休憩ラウンジまでの道のりは仕事場の喧騒から離れるためにも、少し距離を設けました。
道中の廊下には、自社製品がどのようにしてエンドユーザーまで届くかをガラスアートで表現しています。
廊下左部の足元には、割栗石を採用することで外部にいるような雰囲気を持たせています。
本物志向と空間の繋がりについて。
廊下から繋がる天井の一部は、ダクトなどを露出させることで工場感を出しています。
また、露出部とルーバー天井の間に幅を持たせた天井にすることで、意識的に通路部であることが認識できるようにしています。
床、壁、天井に使用している木材は全て不燃木としており、本物の樹木を使うことで高級感ある設えとしています。
奥の掃き出し窓は間口8.5mの大開口サッシを使用することでバルコニーとの一体感を持たせました。
段差と照明で空間を分割。
ラウンジ奥のミーティングスペースは、他のラウンジスペースより一段下げることで壁や扉を設けずに別空間に感じられる造りとしました。
また、天井周囲に間接照明を仕込み、下げることでより一層空間の別れを強調しています。
職場とは思えないリゾート空間の創造。
ラウンジから出られるバルコニーは上部を吹抜けにすることで外気をふんだんに感じられる場所にしています。
計画地は工場が多く立ち並ぶ場所にあります。バルコニー手摺の高さを、着座時に敷地外が一切見えない高さにすることで工場であることを忘れられる空間に仕立て上げています。
コミュニケーションの場としてのサウナ。
工場に従業員がリラクゼーションとして使えるサウナは珍しく、本場フィンランドではコミュニケーションツールとしてサウナを使用することがよくあることから本工場でも採用されました。
本サウナは対面式レイアウトを採用しており、コミュニケーションがとりやすくしています。また、熱環境の温度差が上下だけでなく、前後でも変わるため、座るひとが自分に合った熱環境を細かく調整できる利点があります。
ヒーター上部の反射板は、円錐形状とすることで効率的ロウリュウの蒸気を360°に分散させる形状とし、天井は壁に向かって下がる勾配天井にすることで、上がった蒸気が循環しやすい環境としました。
消防進入口を風の通り道として有効活用。
サウナコーナーのバルコニーは天井を設けず、外気浴ができる場としました。整える場となるため、水風呂から出てすぐの位置に設けています。
写真奥の見えない場所に、消防隊が火災時に進入するための代替進入口があり、ガラリ窓とすることで風の通り道として併用しています。